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孫を思う気持ち(東日本大震災一周忌追悼作品) [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

小さな女の子がお父さんとお母さんに連れられておもちゃ屋さんに来ました。
家ではたくさんのおもちゃで遊んでいましたが、おもちゃ屋さんに来るのは生まれて初めてでした。
おもちゃ屋さんには、テレビで見ているキャラクターの人形やかわいい動物のぬいぐるみなどがいっぱい置いてありました。
女の子は夢の中にいるような気持ちになりました。
おもちゃ屋さんの真ん中には、自由に遊べる場所があり、積み木やお料理セットなどが置いてありました。
女の子はお料理セットの前に座ってお料理ごっこを始めました。
夢中になって遊んでいると、いつの間にか知らないおじいさんとおばあさんがとなりに座っていました。おじいさんとおばあさんは優しい目で女の子を見つめながらにこにこしていました。
女の子はコップにビーズを入れて「はい、おじいさん、ジュースですよ。」と言ってあげました。
おじいさんはうれしそうに受け取って飲むふりをしました。
次におじいさんは、そのコップに自分の手をかざしました。すると、ビーズだった中身は本物のジュースになりました。
女の子はそれを受け取って飲みました。甘くておいしいジュースでした。
女の子は、ハンバーガーのおもちゃをお皿にのせておばあさんにあげました。
おばあさんがそのハンバーガーに手をかざすと、本物のハンバーガーになりました。女の子はバクバクとハンバーガーを食べました。
その様子を見て、おじいさんとおばあさんはにこにこしました。
お母さんが来て、「こっちに絵本があるわよ。おいで。」と言いました。女の子はおじいさんとおばあさんに「バイバイ」をしてお母さんの所に走っていきました。
「ひとりで上手に遊べるようになったのね。」お母さんは嬉しそうに言いました。
女の子は「あれ?」と思いました。
おうちに帰ることになって、女の子たちが店を出ようとしたとき、おじいさんとおばあさんがこっちを見てにこにこしていました。
女の子はまた「バイバイ」をしました。お父さんとお母さんは「おもちゃにバイバイしているの?」と言いました。
女の子はまた「あれ?」と思いました。
女の子の家にはおじいさんとおばあさんに抱っこされた生まれたばかりの女の子の写真が飾ってありました。
じゃ、おやすみ。


2012-03-11 06:36  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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決して忘れない(東日本大震災一周忌追悼作品) [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

ある大きな町に、一個の矢印がありました。
町のみんなは「この矢印の先に何かあるのかな?」と思って矢印の通りに歩いてしまいます。
するとその先には一体のロボットが座っていました。
「ロボットか、何をしてくれるのかな?」
「試しに何か頼んでみよう。」
みんなはそう言って、ロボットにいろいろと頼んでみました。
「コーヒーを作ってくれないかい?」と言うと、ロボットは体の中からカップを出しましたが、中身はからっぽでした。
「うちのお掃除をしてくれないかしら?」と言うと、ロボットはほうきと雑巾を出しましたが、お掃除はしてくれませんでした。
「なーんだ、役に立たないロボットか。」みんなはロボットをばかにして帰ってしまいました。
次の日、大きな町の大きな発電所が壊れてしまいました。町の中は停電で真っ暗です。みんなは困ってしまいました。
困ったひとりが、ロボットのことを思い出しました。
「頼む。発電所には誰も近づけないんだ。おまえが行って、直してくれ。」
ロボットは黙って発電所に向かいました。危険な発電所の中でロボットは自分の電気を全部使って修理をしました。
しばらくすると、街中に電気が戻ってきました。みんなは拍手をして喜びました。
発電所の中には、力を使い尽くしてボロボロになってしまったロボットの部品が散らばっていました。
町の人たちは部品を丁寧に拾い集め、それを組み立てて町の真ん中にロボットの像を建てました。
そして、街中にたくさんの矢印が貼られました。その矢印は全部ロボットの像の場所を指し示していました。その矢印には「ありがとう。決して忘れない。」と書かれていました。
じゃ、おやすみ。


2012-03-12 09:12  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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白と黒の小鳥 [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

ある町に女の子が住んでいました。
その町には、たくさんの木が植えてあり、たくさんの花が咲いていました。
女の子は町中が公園みたいなこの町でのびのびと遊んでいました。
この町には、たくさんの小鳥たちも遊びにやってきました。
女の子の、一番のお気に入りの小鳥はセキレイでした。
「セキレイきれい。セキレイきれい。」と女の子はいつも歌っていました。
セキレイのどこがそんなに好きかと言うと、鳥なのに、飛ぶよりも走るのが好きみたいに、いつもそこらへんを走り回っているところが好きなのでした。
飛んでいる鳥は遠くて見えません。鳩のように近づいても全然逃げず、かえって近づいてくる鳥は、ちょっと怖いのですが、セキレイは地面を走っているので小さな女の子にもよく見えますし、追いかけると、ちょうどいい早さで逃げてくれるので、一緒に遊んでいるみたいで楽しいのです。走る姿もシャンとしていて立派です。
それと、体の模様が白と黒でとってもきれいです。
ある日、ひとりのおじいさんが木の下のベンチで新聞を読んでいたとき、足元をセキレイがチョロチョロと走り回りました。
おじいさんは、「なんだ、セキレイか。かわいい走り方をするなぁ。」と思いました。
おじいさんが微笑んだのに気付いたかのように、セキレイはおじいさんに少しずつ近づいてきました。
おじいさんは、「セキレイが人に近寄ってくるなんて、珍しいなぁ。」と思いました。
すると、セキレイはおじいさんの膝から肩に登ってきました。おじいさんはびっくり。「こんなに人に慣れたセキレイは初めてだ。」
そして、おじいさんは思い出しました。
「セキレイと言えば、幼なじみのばあさんが子供の頃に、よく追いかけっこをして遊んだと言っていたなぁ。久しぶりに会いに行ってみるかな。」
そう言ったのがわかったかのようにセキレイはうれしそうに空へ飛んでいきました。
幼なじみのおばあさんの家を訪ねてみると、「おばあさんは今朝、死んでしまいました。とても安らかに、幸せそうに亡くなったんですよ。」と家の人が教えてくれました。
おじいさんはびっくりしましたが、その家の上の空をうれしそうに飛んでいるセキレイをみつけると、不思議と幸せな気持ちになっていました。
じゃ、おやすみ。


2012-03-18 09:29  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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犬は覚えていた [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

ある町に、目の不自由な子供が住んでいました。
この子の友達は1匹の柴犬だけでした。
子供はいつも柴犬と一緒に同じ道を散歩していました。
ある日、いつものように柴犬を連れて歩いていると、一人の女の人に話しかけられました。
女の人は「この町にTさんって言う人が住んでいるか知ってる ? 」とたずねてきました。
子供は「Tさんなら、僕の家の隣の人だよ。」と答えました。
女の人は「まあ、よかった ! Tさんのおうちまで案内してくれるかな ? 」と言いましたので、「いいよ。でもボクはいつも同じ道しか通れないんだ。だから、これからずっと向こうまで歩いてからじゃないとうちには戻らないよ。」と言いました。
女の人は「いいわよ。急いでいるわけじゃないし、いっしょに歩きましょ。」と言ってついてきました。
歩いている間、女の人は子供にどんな食べ物が好きか、とか、学校は行っているのか、とか、お父さんとは仲良しか、とか、最近楽しいことはあったか、とか、いろいろなことをきいてきました。子供は「ずいぶんといろんなことをきく人だなぁ。」と、すこし面倒くさくなってきました。
「もうすぐ、Tさんのうちだよ。」と子供が言うと、女の人は最後に「おばあさんとは、仲良くしているの ? 」とききました。
子供は「おばあちゃんなら、去年亡くなりました。」と答えました。女の人は、ちょっと立ち止まったようでしたが、子供にすぐに追いついてついてきました。
「ここがボクのうちだから、お隣がTさんのうちだよ。」と言いました。
「ありがとう。ぼうや。」と言って、女の人はTさんのうちの方へ歩いていきました。
その時、柴犬が女の人の方へ子供を無理矢理連れて行くようにひっぱりました。
びっくりして、子供は「わぁ ! 」と言って転んでしまいました。
それでも柴犬は子供を引っ張り続けます。そんなことは初めてだったので子供はどうしていいのかわからなくなり、「えええーん。」と泣いてしまいました。
すると、子供はなんだかとても懐かしく、とても軟らかい物に体を包まれました。
驚いて泣き止んだのに、ほっぺたに冷たい涙が落ちてきました。それは、自分を包み込んでいる物が流している涙だとわかりました。
女の人の声が聞こえてきました。
「ごめんね。ごめんね。」
「私、おばあちゃんとケンカして5年前にあなたとパパをおいて出て行ってしまったの。ママのこと覚えていないでしょうけれど、もう一度、一緒に暮らしたくて会いに来てしまったの。」
子供は嬉しそうに「ママ。」と言いました。
「ボクは目が見えないし、小さかったからママのことを覚えてはいないけれど、犬はママのことを覚えていたんだよ。お散歩しているときも、いつもより嬉しそうだなって感じていたんだ、ボク。」
子供は、もう一度懐かしくてとっても軟らかい物に包まれました。ママと子供の濡れたほっぺを柴犬がベロっとなめました。
今まで、つらいこともたくさんあった子供でしたが、それからはとても幸せに過ごしました。
じゃ、おやすみ。

タグ:柴犬 散歩 ママ


2012-03-27 09:38  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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昭和の写真館 [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

ある町に古い写真館がありました。
その写真館に一枚の家族写真が飾られていました。
ある日、少年は野球の練習をした帰り道、一軒の本屋さんに寄り道しました。
本屋さんには「カメラ少年」という本が置いてありました。
少年は、その本を夢中になって読みました。
そんな姿を本棚の陰からこっそりと見ている女の子がいました。
本屋さんの娘でした。
女の子は、本を読みながら目がキラキラしている野球少年が大好きでした。
女の子は、もじもじしながら少年の近くに行き、さりげなく買ったばかりのカメラを見せびらかしました。
カメラに気付いた少年は、「わっ、すごい。カメラ持ってるんだ。」と言いました。
女の子は、やはりもじもじしながら、カメラを少年の方に差し出しました。
「えっ ? 貸してくれるの ? 」「うん。カメラ好きなんでしょ ? 」
「すっげえ。本物だ。」少年は本物のカメラにさわるのは初めてでした。
「写してもいいよ。」と、女の子が言いました。
「本当に ? どうしよう。何を写そうかな ? 」少年はまわりに素敵な物がないか探しました。でも、まわりは本だらけ。外はもう、薄暗くなっていました。
少年は「じゃ、一枚だけ写真撮らせてもらうよ。生まれて初めて撮る写真だ。」と言いました。
次の日、女の子のお父さんは、写真屋さんにフィルムを写真にしてもらいに行きました。そこには、お父さんが今まで見たこともないような嬉しそうな顔をした娘の写真がありました。
女の子のお父さんは、すぐに、写真を撮った野球少年を家に呼んで、一緒にキャッチボールをしました。その時も女の子は今までで一番の笑顔で見つめていました。お父さんも今までで一番の笑顔をしていました。
女の子の家族と野球少年はそれからもずっと仲良く過ごし、大人になったふたりはめでたく結婚しました。
初めての子供が生まれた日、おじいさんになったお父さんは、「みんなで写真を撮りに行こう。」と言いました。
その日、家族みんなで写した写真は、あの時と変わらない一番の笑顔がたくさん並んだ写真になりました。
その町の人たちは、この古い写真館の前を通ると、みんな笑顔になりました。
じゃ、おやすみ。


2012-03-28 10:11  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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エイプリルフールの恋心 [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

4月1日はエイプリルフールで、一日だけ嘘をついてもいい日です。
でも、人を困らせるような嘘はいけません。「なーんだ、そうか。」と笑って済むようなかわいい嘘でなければなりません。
Kくんは、「今日は絶対嘘をついてみんなを驚かせるぞ。」と張り切って学校に行きました。
でも、先生に「Kくん、今日は何を食べて来ましたか ? 」ときかれて、「焼きそばです。」と嘘をつきましたが、嘘か本当か、誰にもわからないことだったので効果はありませんでした。
その後も何回か嘘に挑戦しましたが、なかなかうまくいかないのでKくんはあせってきました。
掃除時間になり、Kくんは、みんなの前で大きな声で「ボ、ボ、ボクはSさんのことが好きです。」と嘘をつきました。
みんなは驚いたり、喜んだりしました。
「今日はエイプリルフールだよーーん。」って言おうとした時、Sさんが「わ、わ、わたしもKくんが大好きです。」って言ってしまいました。
みんなはますます喜びました。
今さら、「今日はエイプリルフールだよーーん。」は言えない感じになってしまいました。
Sさんは、「きょ、きょ、今日は、一緒に帰りましょ。」と言いました。流れで、KくんはSさんと一緒に帰ることになりました。
二人での帰り道、Sさんは「Kくんは家にいるとき何しているの ? 」とか、「どんな食べ物がすきなの ? 」とか、ききました。
ますます、「今日はエイプリルフールだよーーん。」とは言えなくなってしまいました。
河原に腰掛けて、しばらく話をしました。Sさんは本当に嬉しそうな顔をして話しました。二人で話をしていたら、なんだかKくんも本当に「Sさんは、かわいいなぁ。」と思ってきました。
「心の中でSさんが好きだったから、あんな嘘を思いついたのかな ? 」とも思い始めました。
Kくんは、思い切って、「今度の土曜日、二人でハンバーガー食べに行こうか。」と言いました。Sさんは「本当 ? うれしい。」と言いました。
Sさんの家の近くで別れたKくんは、「エイプリルフールは、最高の日だ。」と思い、スキップしながら帰りました。
その時、後ろからSさんが追いかけてきました。そして、Kくんに向かって、「今日はエイブリルフールよぉ。」と言いました。
Kくんは、「えっ ? 」って思いましたが、Sさんが笑いながら、ほっぺにチュッとしてくれたので、「なーんだ、そうか。」と言って笑える、かわいい嘘だとわかりました。Kくんは、「Sさんて、本当にかわいいな。」と思いました。
じゃ、おやすみ。


2012-04-01 09:03  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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古い映画館が待っているもの [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

ある小さな町に古い映画館がありました。
建物も古いのですが、やってる映画も古いので、お客さんはほとんど来てくれませんでした。
映画館は損ばかりしていましたが、社長のおじいさんは昔から大きな土地を持っていましたので、映画館を続けることは出来ていました。
この社長さんは「絶対にこの映画館はやめない。わしの願いが叶うまでな。」と言っていました。
映画館の人たちは、社長の願いを知っていましたが、それがかなった方がいいのか、叶わないで映画館がずっと続いた方がいいのか、迷っていました。
そんなある日、社長が急に倒れてしまいました。
映画館の人たちは、社長の病院に呼ばれました。
「お前たちは、わしがこの流行らない映画館を続けてきた理由は知っているはずだ。だが、それはもうあきらめた。そろそろあの映画館も終わりにしなければならないだろう。すまないが、次の仕事を考えていてくれ。」
社長はそこまで言うのもやっとの状態でした。
映画館の人たちは映画館に帰って、話し合いました。
「この映画館は、本当は、もうずいぶん前に終わっていたんだ。今までここで働かせてもらったお礼だけは、なんとしてもしたいものだ。」
「社長の願いを叶えてあげることは無理だが、せめて、最後はたくさんのお客さんにこの映画館に来てもらいたいものだ。」
「よし、今までの全ての思いを込めて、頑張ろう。」
映画館の人たちの心はひとつになっていました。
映画館の最後を1週間後の土曜日と決めて、町の人たちひとりひとりにチラシを配って歩きました。
町の人たちは「小さい頃にはよく映画を見に行ったものだったなぁ。」などと言って、「必ず行くよ。」と言ってくれました。
そして、映画館の最後の日が来ました。
社長は、この日だけ病院から外出の許可をもらって映画館に来ていました。
映画館は、この古い映画館を懐かしむ人、お別れを告げに来た人でいっぱいになりました。
社長に代わって映画館の人が挨拶をして、最後の映画が始まりました。
映画が終わって、映画館には拍手が起こりました。
その時、ひとりの女の人が社長に近付いてきて言いました。
「わたしは、あなたが探していらっしゃるというKの娘です。Kは10年も前に亡くなりましたので、もうあなたに会うことはできません。」
社長は小さな声で答えました。「そうでしたか。30年以上前、わしはあなたのお母様に、もし、わしと結婚してくれるのなら土曜日の最終回の映画を見に来てくれと頼みました。何年先でも待っているとも言いました。そして、わしは30年以上も待っていました。この日を。」
「すみません。母は、次の年には父と結婚しました。私を産んですぐに父が商売に失敗し、あまり幸せではない人生でした。この映画館に来ていれば、母もあなたも違った人生を送れたでしょうに…。」
「それも人の人生なのですよ。おかげでわしは、30年以上もドキドキしながら楽しい人生が送れました。あなたのお母様には感謝しておりますし、今でも大好きです。」
古い映画館には、どんな素敵な映画も叶わないほどの拍手がわき起こりました。
じゃ、おやすみ。

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2012-04-17 10:14  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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料理人の気持ちをささえるもの [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

ある町に一軒のレストランがありました。
ずいぶん古くから開いているので、店はいい感じに古びて、町でも人気のレストランでした。
そのレストランに年を取ったある夫婦が食事をしに来ました。
夫が「窓際の席は空いていますか ? 」とたずねました。
お店の人は、「はい、空いております。ようこそいらっしゃいました。」と言って、夫婦を窓際の席に案内しました。
夫婦は、しばらくは座ったまま何も話さずにいました。
気を利かせた店の人が、「本日はとてもおいしいヒラメの料理をご用意しておりますが、いかがでしょうか ? 」と話しかけますと、夫は「ありがとう。では、それを。……それから、スープはレタスのコンソメにしていただけますかな ? 」と言いました。
お店の人は「かしこまりました。どうぞ、お楽しみ下さい。」と言って下がりました。
お店の人は、音楽をクラシック曲に変えました。
食事も進んで、デザートの前になり、お店の人は、「失礼ですが、今日はお二人の記念日ではございませんか ? 」とたずねました。
夫は、「はい、実は、今日は私どもの60何回目かの結婚記念日なのです。ただし、私どもは結婚式を挙げていませんので、60数年前にプロポーズをした記念日なのです。」とこたえました。
「やはり、そうでしたか。以前、父にそのような方がいらっしゃったと聞いていたものですから、もしかして、と思ってきいてみたのです。実は、死んだ父から預かっているものがあるのです。」と言って、ふたりに古い写真を手渡しました。
そこには、嬉しそうな若者と恥ずかしそうに顔を赤くしている若い女性が写っていました。
ふたりはびっくりしました。
「この日から、父はいつもメニューにレタスのコンソメスープを入れるようにしたと言っておりました。この時のお二人の幸せなお顔を見て、レストランの喜びはこれだ、と感じたそうです。ですから、その時写したお二人の写真をいつも飾って、その時の気持ちを忘れないようにして料理を作り続けてきたそうです。亡くなるときに、「もし、あのお二人が店をたずねて下さることがあったら、この写真をお見せするように、」と預かっておりました。」
お店の人の言葉を聞いて、妻は、あの時のような恥ずかしそうな顔をしました。
お店の人は、「私もお二人のお顔を励みにして料理を作らせていただいていいでしょうか ? 」とききました。
夫は、「ありがとう。私たちの笑顔を励みにお店を続けて来られたとは、私たちもとても嬉しいです。逆に、私は、あの日あなたのお父様に激励されて妻にプロポーズすることができたのです。あの日から60年以上、私たちはとても幸せに過ごせました。」と言いました。
お店の人は、にっこりと微笑みながら、甘いケーキをテーブルに運びました。
じゃ、おやすみ。


2012-05-05 09:26  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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小さな命 [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

小さな小さな女の子が生まれました。
お父さんとお母さん、おじいちゃんとおばあちゃんもみんな大喜びでした。
でも、女の子は生まれつき心臓に病気を持っていました。
お医者さんは、「この子の体力では、1ヶ月くらいしか生きられないと思います。短い時間ですが、家族の皆さんで大切に見守ってあげて下さい。」と言いました。
お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、みんな大声を上げて泣いてしまいました。
2日ほどは、みんなただただ泣いているばかりでしたが、お父さんが「この子には、たったの1ヶ月しか時間がないんだ。泣いてばかりで2日も無駄にしてしまった。この短い時間を幸せな人生にするようにみんなで頑張ろう。」と言いました。
それからみんなは、女の子に一生懸命話しかけたり、歌を歌ってあげたり、手と足の体操をしながらみんなで笑い合ったりしました。
みんなはいつも笑っていました。頑張って、頑張って笑っていました。
3週間ぐらい経ったある日、いつものようにお母さんが女の子におっぱいをあげていました。いつもならお母さんが一生懸命話しかけても、ぼーっとした顔をしていた女の子が、お母さんの顔を見つめました。
お母さんは、ハッとして、「パパ ! 今、私の顔を見てくれたわ !」と叫びました。
お父さんがびっくりして女の子の顔をのぞき込むと、女の子は、今度はお父さんの顔を見て、ニコニコと笑いました。
「笑った ! 笑った ! 」お父さんとお母さんは大喜び。すぐにお医者さんを呼んで報告しました。
お医者さんは「すごい。信じられない。これは…助かるかもしれませんよ ! 」と叫びました。
その日からも、みんなは女の子に話しかけ、笑いかけ続けました。おじいちゃん、おばあちゃんも、ちょっとでも女の子が笑うと大騒ぎでした。
恐れていた1ヶ月が経ちました。
女の子はお母さんのおっぱいを飲む力も強くなり、体重も増え、顔もぷくぷくとしてきました。
お医者さんは、「ご家族皆さんの愛情と、この子の頑張る気持ちが奇跡を起こしました。今の体力があれば、大丈夫生きられます。大きくなったら手術が必要ですが、それも乗り越えることが出来るでしょう。病気を治すのは医者ではないということをこの子が教えてくれました。」と言いました。
お父さんとお母さん、おじいちゃんとおばあちゃんは、頑張らなくても、いつもニコニコ笑っていられる毎日に感謝して、女の子を大切に、大切に育てました。
じゃ、おやすみ。

タグ:元気 余命


2012-07-24 22:44  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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お母さんと子供たちの命を守ってくださった先生 [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

ある町で、大きな地震がありました。
その時、お母さんは小さな女の子二人を連れてピアノ教室にいました。
いままで経験したことの無いような長くて大きな地震でした。
お母さんはすぐに小学校に行っている長女のことが心配で心配で仕方なくなりました。すこし揺れがおさまってくると、下の子供二人を車に乗せて、急いで娘の通う小学校に向かいました。
小学校に着いたお母さんは玄関で会った先生に向かって「娘を連れに来ました。娘と一緒に家に帰りますので娘を帰して下さい。」とお願いしました。
先生は「子供たちはひとりも帰しません ! この後、津波が来るかも知りませんので全員で裏の山に避難します。お母さんも妹さんたちも子供たちと一緒に逃げて下さい ! 」と言いました。
お母さんは、娘を連れて帰れないと知ってショックでしたが、先生はきっぱりとそう言って、厳しい顔をしていました。
お母さんはその先生の迫力に押されて、仕方なく小さい子二人を連れて小学生たちと裏の山に登っていきました。
山の上の、町が見下ろせる広場に着いてしばらくすると、びっくりするくらい大きな波が襲ってくるのが見えました。あっという間にたくさんの家が流され、たくさんの自動車が波に流されていくのが見えました。
小学校もみるみるうちに波と水煙に隠れて見えなくなっていきました。
お母さんはふたりの娘の手をぎゅっと握ったまま町が無くなっていく様子を見ていました。
小学校の子供たちは全員無事でした。
お母さんは「娘を連れて帰っていたら全員死んでいたに違いない。先生のおかげで三人の娘と自分の命が助かったんだわ。」とわかりました。
この小学校では、毎年欠かさず津波の避難訓練をしていました。大きな地震が来たら絶対に全員を裏山に連れて行く、絶対に子供たちを家に帰さない、ということが確認されていました。
そのおかげで、たくさんの子供たちの命が助かったのでした。
これは本当のお話です。
じゃ、おやすみ。


2012-07-29 20:46  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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家族がいなくなるということ [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

お母さんと中学生の娘が家にいた時に大きな地震が来ました。
今までに経験したことのない長くて強い揺れでした。
娘は泣きそうになるくらい怖いと思いました。なんとか揺れはおさまると思ったよりも物も落ちたりせずに済んだので、娘はほっと安心しました。
少しすると町の老人ホームで働いているお父さんが急いで帰ってきました。
お父さんも思ったより家が無事だったので安心しました。
「老人ホームのお年寄りを避難させるのに戻るが、津波が来るかもしれないのでお前たちも早めに上の方に逃げるんだぞ。」と言って、お父さんは軽トラックに乗って町の方に下りて行きました。
それから間もなくしてびっくりするくらい大きな津波が町をのみ込みました。
娘は、いつもニコニコしているお父さんが大好きでした。困っているおじいさん、おばあさんのお世話を一生懸命しているお父さんを誇りに思っていました。だから、自分も大人になったら人の役に立つ人間になろうと心に決めていました。ですから、お父さんが津波にのまれて死んでしまった事はものすごく悲しいことでした。でも、娘はみんなの前では涙を見せず、「ぼうっと空を見つめているお母さんを助けて生きていくのはこの私だ。」と心に決めていました。
これは本当のお話です。
じゃ、おやすみ。


2012-08-02 11:54  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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見えない両腕 [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

あの時は、ほんのちょっとの不注意だった。
ボクは19歳で、自動車の免許を取ったばかり。お父さんが頑張ったボクを褒めてくれて、小さな、でもとってもかっこいい車を買ってくれた。
ボクはうれしくて、友達を乗せてドライブに出かけた。
そして、ボクはほんのちょっとの不注意を犯した。
ボクの車はただの鉄の固まりのようになり、ボクは気を失って病院に運ばれたらしい。
ボクは両方の腕を失った。
それはとてもショックな事だったけれど、一緒に乗ってくれていた友達が奇跡的に少しケガをしただけで済んだと聞いて、とても嬉しい気持ちでいた。
友達とは、高校の水泳部で知り合い、大学生になっても仲良くしていた。その友達がボクの所へ見舞いに来てくれた。
友達はボクの顔を見てやさしく微笑んでくれた。
ボクは、「お前が無事で、本当によかった。もし、お前が死んでいたりしたら、俺は生きていられなかった。」と言った。
それを聞いた友達は、ボクにびっくりするような宿題を告げた。

友達の宿題を果たすのに8年かかった。  今日がその日だ。
ボクは、友達との約束を果たすために、今、ロンドンにいる。
両腕を失ったボクは、死ぬような努力をしてロンドンパラリンピックの競泳プールに立っていた。
「もう、どんな不注意も犯さない。」ボクはこれから自分がしなければならないことを全て確実に行うことだけに集中していた。
平泳ぎのレースが始まり、ボクは、目には見えない両腕で必死に水をかいて進んだ。
ボクは5番でゴールした。
メダルは取れなかったが、友達との約束の通り、このパラリンピックの舞台で、ケガをする前の自分の記録を破ったのだった。
ケガをして全てがダメになったわけじゃなかった。
家族も、友達も涙を流して喜んでくれた。ボクも涙が流れた。
友達が、「4年後はメダルだ ! 」と泣きながら叫んだ。
ボクは「俺、これからも頑張るから、どんどん宿題を出してくれ。」と言った。
ボクたちは生きていることの幸せの中にいた。
じゃ、おやすみ。


2012-09-03 09:10  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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