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指欠け地蔵さまの話

ある雪ぶかい小さな村に息子とばあさまが住んでいました。
ばあさまは、すっかり足が弱ってしまい、外に出る事もできなくなっていました。息子は、そんなばあさまのために懸命に働いていました。
冬になり、村はすっかり雪に覆われました。
息子も、雪だらけの村では働こうにも働けず、南の町に働きに行きたくても、ばあさまひとりを置いていくわけにもいかないので、ふたりの家の食べ物は、どんどん無くなっていきました。
息子はせっせとわらじを編んで作りましたが、売りに行くあてはありませんでした。息子がため息を漏らしている隣で、ばあさまは体を小さくしながらも、いつもニコニコしていました。
「ばあさまは、のんきでいいなぁ。」息子はそう思っていました。
雪はどんどん降り積もり、年が明けた頃には、本当に食べるものが無くなってしまいました。
息子は「このままでは、ふたりとも死んでしまう。なんとかこの村を出て、わらじを買ってもらおう。」と決心し、ばあさまが起きる前に家を出ようとしました。
すると、久しぶりに開けた家の戸の前にお米が一俵置いてあるではありませんか。息子はびっくり。「誰かがオラたちのために届けてくれたんだ。ありがたや、ありがたや。でも、いったい誰が ? 」
息子が米俵の周りをよく見ると、人の足跡のようなものがたくさん残っていました。その足跡が点点と外に続いていたので、息子はその足跡をたどってみました。
その小さな足跡は村の外れまで続いていましたが、途中には転んだような穴ぼこや、米俵を置いて休んだらしい後がいくつもいくつも残っていました。
「重たい米俵を持って、この雪の中を歩いてくるなんて、大変な事に決まっている。そんな大変な思いをしてオラたちの家に米を運んでくれたなんて……オラも頑張って足跡をたどり、なんとかお礼だけでも言いたいものだ。」
息子がそう思ってたどり着いた先は、村はずれのお地蔵様の前でした。
息子は大粒の涙をポロポロこぼし、お地蔵様の前で冷たい雪の中に頭まで突っ込んでお礼を言いました。
このお地蔵様は前から足の指が一本欠けていました。
ですから、お地蔵様は米俵を持って雪の中を歩くあいだ、何度も何度も転んだのでした。
息子は、お地蔵様のそんな姿を思い浮かべ、あまりのありがたさに全身が震えるほどでした。息子は、「お地蔵様。このご恩は決して忘れません。ありがとうございました。ありがとうございました。」と言って、お地蔵様の足に自分が編んだわらじをはかせてあげました。
家に帰って、その話をしながらばあさまと米を食べました。
話を聞きながらニコニコと食べるばあさまの顔は、お地蔵様にそっくりでした。
じゃ、おやすみ。


2013-04-20 20:54  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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